3月下旬
田起こし
前年の11月に稲わらを全部田んぼの外に持ち出した後、耕起せずにそのままの状態で冬を越した田んぼをトラクターで起こします。
3月下旬
脱芒(だつぼう)作業
稲の粒には芒(のぎ)というヒゲのようなものが付いています。
籾播きをスムーズにおこなうために、この芒を取るのが脱芒作業です。
4月上旬から中旬
苗代の整地
苗箱を並べて育苗するための場所の草を取り、浅く耕起してできるだけ水平になるように整地します。
4月中旬
種もみの選別 ~ 浸漬
前年の秋から保管しておいた種もみの選別作業です。
お米の栽培を始めて3年目までは、比重1.13の塩水の中に種籾を入れて選別していました。浮いた種もみをすくい出して沈んだ種もみのみをもみ籾播きに使うのですが、約3割の種もみが浮き、その種もみは処分していました。
比重1.13というかなり濃い塩水に短時間とはいえ種もみを漬けることや、約3割もの種もみを使えないものとして処分しなければならないということが、種もみに対して申し訳ないような気持ちになり、4年目からは塩水ではなく真水で選別するようにしました。
その結果は、水面に浮く種もみは3~5%位で、95%以上の種もみを使用するのですが、生育には全く問題ありませんでした。
塩水選は稲の病気予防や、できるだけ優良なお米を収穫するためにおこなうのですが、肥料や農薬に頼らずに自分の力で育ったお米には、そんな必要はないということだと思います。
4月下旬
籾播き~苗箱並べ
前日に水から揚げたあと日陰で乾かした種籾を苗箱に播き、苗代に並べます。
5月下旬~6月上旬
荒代かき ~ 本代かき
3月下旬に田起こしをした田んぼに水を入れトラクターで代かきをします。水が入っているので土は泥んこ状になり水持ちが良くなります。田んぼ全体に水が入ってから代かきをするとしやすいのですが、部奈の田んぼは井水の水量が少ないため、年によってはなかなか水が溜まらず、水が溜まった所から段々に代かきをすることもあります。
1回目の代かき(荒代かき)から10日前後経ってから、2回目の代かき(本代かき)をします。本代かきでは、できるだけ土の表面が平らになるようにゆっくりと丁寧におこないます。代かきを2回に分けておこなうことにより抑草対策にもなります。
毎年代かきをしながら、この作業が無しで田植えが出来ないものかと思います。トラクターが無くても誰でも気軽にお米作りができる方法を何とか見つけたいと思っています。
6月上旬
田植え
本代かきをした日の3日目に田植えをしています。本代かきの後、雑草が生えてくる前にあまり日を置かずに田植えをしています。1坪あたり60株、苗の本数は3~4本位で植えています。
6月15日~8月27日
除草作業
田植えから1週間後位に手押しの除草機で1回目の除草をします。その後1週間おきくらいに合計3回手押しの除草機で除草します。除草機では条間の除草はできますが株間の除草ができないため、条間の草は生え具合を見ながら手で除草します。
部奈の田んぼは、5年目からクログアイというイ草のような草が田んぼ一面に増えてしまい、球根と地下茎で増える草のため、なかなか除草ができずお米の収量にも影響が出ています。この草もお米の栽培上何か必要があって生えていると思うので、その必要が無くなれば自然に減るのではないかと期待していますが、果たしてそのようになるのか心配も大きいです。
6月中旬~8月上旬
田植え後の生育 ~ 出穂
部奈は井水の水量が少ないため毎年水の確認に苦労しています。いなほ農園の田んぼは、緩やかな傾斜地の一番下にあるため、上の方の多くの田んぼで水を入れていると下の方の田んぼまでは水が流れてこない状況です。そのため常時入水口を開けたままにしています。数日ほとんど水が来ない時もありますが稲は元気に育っています。
田植え後10日位経った頃に毎年イネミズゾウムシやドロオイムシが発生しますが、1週間もすると農薬を使わなくても自然にいなくなり特に被害は出ないです。農薬や肥料を使わない田んぼでは、自然のバランスが良い具合になっており、稲と虫との間で持ちつ持たれつの関係が保たれているように感じます。
一般的にはこの時期に農薬を散布するのですが、農薬により目的の虫だけでなく他の生物へも影響が出てしまい自然のバランスが崩れてしまうのではないかと心配です。
10月上旬~11月中旬
稲刈り
お米作りを開始して4年目からは、バインダーとハーベスターを使い家族で稲刈りをしています。コンバインで稲刈りをするよりも時間は長くかかりますが、家族で協力して稲刈りをするという貴重な時間を過ごせることはありがたいことです。
栽培2年目以降も、藁は全量田んぼの外に持ち出しています。
田起こしについても初年度と同じように、秋の耕起はせずに春のみ耕起しています。
※栽培の仕方については、稲や環境にとって、そして人間にとって、どのような方法が最適なのかを常に考えながら、試行錯誤の繰り返しになると思いますが、楽しく希望を持って取り組んでいきたいと思います。
そして、誰でも気軽に楽しく取り組める永続可能なお米作りを実現できるよう頑張りたいと思います。